ギメ美術館のインスタレーションは
セルサンクルーにあるフランス迎賓館のインスタレーションを見た
ギメ美術館のソフィ・マカリウ館長が
「パリのギメ美術館でも展示をしませんか?」
と言って頂いたのが始まりでした
エージェントのフィリップと一緒に直ぐに視察に行き実現することになりました
ギメ美術館の一番上にあるフロアーは
本当に美しく
窓からはパリが一望できます
その場所にほれ込み
直ぐに制作したい意思を伝えました
ギメ東洋美術館はリヨンの実業家である
エミール・ギメ(Emile Guimet/1836-1918)のイニシアチブによって
パリに1889年に誕生しました
ギメは画家でイラストレーターであったフランス人の
フェリックス・レガメ(Félix Régamey/1844-1907)と出会うと、
旅の資金を負担することを条件に日本に同行することを提案しました。
そして2人は1876年に日本に6ヶ月近く滞在します
ギメとレガメは通訳とともに日本の大きな仏閣をたずねて回り
情報収集を行い、資料やデッサンを大量に残しました
また仏教彫刻など、大量の作品購入を行ったのです
非常に興味深く斬新だったのは
ギメが京都の東寺の曼荼羅の完璧な複製を注文し、パリに持ち帰ったことです
Photo by Tadayuki Minamoto
ギメ美術館の中心にそびえ立つ円形のドームはギメ美術館1885年開設時の形を残している
2階部分の円形の図書館には
10万冊の書籍と800冊の画集・1500種類の定期刊行物が所蔵されている
『学ぶとは人間の人間たるゆえんを知ることだ』という言葉の通り
パリのアートの中心にあるギメ美術館はまさに
「学ぶとは何なのか。アートとは何なのか。人間とは何なのか」を考え
感じる場所である
図書館の真上、円形のドームの最上部に今回のインスタレーションの展示場所がある。
縦長の窓から穏やかな自然光が入る。窓からは美術の中心地パリを一望できる
ここでテロが起こったことが想像できないほど美しい
今回のインスタレーションのテーマは「五大」
五大とは万物の宇宙を構成しているとする
地(ち)・水(すい)・火(か)・風(ふう)・虚空(こくう)の五つの要素のこと
古代インド思想や中国の五行思想とつながりを持つが、日本固有の思想として成立した。
ギメ美術館の円形のドームを虚空(こくう)ととらえた
虚空とは無限の広がりをもつ世界。自由の象徴。何ものでもなく、全てである。
無限、それこそが「虚空」なのである。
展示スペース「虚空」の空間に虎竹により地・水・火・風を表現した
「地」は揺らぐことない土台。万物の基礎となるもの。命の無限性を象徴
「水」は空から下り、地を潤(うるお)して、やがて空に帰る。命の源を表す
「火」は己(おのれ)も相手をも焼き尽くす。力強さ、情熱、欲求を表す
「風」は雲をよび水を降らせる。成長・広がり・自由を表す
使用した竹は四国の高知県のある山にしか生えない虎竹(とらちく)
虎班模様が表面にある不思議な竹
この竹は竹林の20本に1本のみ、その模様が現われる
また根を隣の山に移しても普通の緑色の竹が生えてくる
まさに自然が与えた恵みの竹模様
竹林にそびえ立つ竹は美しい
その美しい竹を切り、人の手を通し1本1本手作業で竹ひごにした
そして
「学ぶとは何なのか。アートとは何なのか。人間とは何なのか」
を五大思想により表現した